イラスト/雅 オーバーラップノベルス『とんでもスキルで異世界放浪メシ』(著/江口連)
2024年春に「オーバーラップ文庫」は創刊12年目、「オーバーラップノベルス」は創刊10年目を迎えました。 さらに、女性読者のためのレーベル「オーバーラップノベルスf」は創刊から4周年となります。 そして今回、この人気3レーベルと小説投稿サイト「小説家になろう」の共同企画「第10回オーバーラップWEB小説大賞」を実施します。 引き続き「随時刊行システム」を採用。応募期間中に常時選考を行い、受賞作品が決定次第、順次刊行を行います。
受賞作品は「オーバーラップ文庫」、「オーバーラップノベルス」、「オーバーラップノベルスf」のいずれかから刊行予定
応募期間中は常時選考を行い、順次刊行します。各応募期間終了後に、奨励賞受賞作品の中から、大賞作品ならびに各賞を選定して発表します。
ダンジョンが出現した現代日本で、能力を得て『覚醒』し冒険者となった高校生が主人公の本作。
主人公が自らに降りかかる火の粉を払っているうちに、意図せず世界に影響を与えていく様子が爽快な現代ファンタジー作品です。
現代日本という舞台設定とファンタジー要素の取り入れ方のバランスがよく、主人公を通じて非日常へのあこがれを体験できるような描写には心惹かれます。
さらに、主人公が気付かないところでも様々な出来事が動いていく様子や、ダンジョンの謎に隠された陰謀が少しずつ見えてくるようなストーリー展開によって、世界観が広がっていくワクワク感が巧みに演出されていました。
また、タイトル通り「コミュ障」な主人公ですが、その言動が等身大で微笑ましく、時には危険を顧みず飛び込んでいける強さも持っていて、応援したくなるキャラクターになっています。
登場するヒロイン達もそれぞれ非常に個性的で、テンポよくコミカルな掛け合いがとても楽しく読めました。
作者のこだわりが感じられる設定と個性豊かで生き生きとしたキャラクターたちが魅力的な、ぜひおすすめしたい一作です。
十年にも及ぶ厳しい訓練を乗り越え、帝国暗部の工作員となった主人公レイシー。本作はそんなレイシーが初任務として皇帝の偽妃となることを命じられるところから始まります。
レイシーは工作員としては優秀でありながらも、純粋で少し食い意地のはった可愛らしいキャラクターで、彼女のもつのんびりした空気感にあっという間に魅了されてしまいました。また、レイシーが偽妃を務めることになった皇帝陛下に、直属の上司といった脇を固めるキャラクター達も個性が際立っており、彼らの軽妙な掛け合いにくすっとさせられたシーンも多かったです。
そんな明るい雰囲気を楽しめるのはもちろんですが、タイトルから期待するような容赦のない工作員としての姿や戦闘描写もあり、そのギャップが本作の大きなの魅力になっていました。
読み進めるほどにはまっていく、読者を引き込む力があり、今後の展開にも期待の持てる作品です。
RPGゲーム【アビス・ファンタジー】のラスボスであるユリフィス・ヴァンフレイムに転生したことに気づいた主人公が、原作の知識とラスボスキャラとして宿す力を用いて活躍していく本作品。
「悪役への転生」を描いた物語は、近年の王道かつ主人公の活躍も期待できるジャンルですが、その中でも本作は、「ラスボス」への転生として、主人公の力強さやキャラのポテンシャルの高さを感じさせる点がまず目を惹きました。
ゲーム知識や、その身に宿す力で活躍する爽快感などのポイントもしっかり押さえており、気持ち良く楽しめる作品です。
また、そんな主人公が目指すのは「原作以上の覇道」。ゲーム本編では喪うことになる婚約者を守るため、新たな国を創ることを目指す主人公の王たる器を感じさせる、物語のスケールの大きさも魅力です。
ヒロインを含め、主人公の周囲のキャラクターも個性的で、主人公たちが自分たちの力で世界を変えていく様を見届けたくなる物語でした。
乙女ゲームのモブ令嬢キャラに転生した主人公・ルシアが、「推しメン」である悪役キャラ・クラウスの破滅を回避すべく奮闘する本作。
ゲームのヒロインとクラウスの距離を近づけようと奔走するルシアの願いは、なんといっても「推しが幸せになること」。
そんなルシアの健気で一途な想いと、時には身の危険も顧みないような大胆な行動力には、思わず応援したくなるような主人公としての魅力を感じました。
不器用で周囲に誤解されがちですが、実は心優しいクラウスの心情変化、そしてルシアとの出会いが彼の不遇な人生に少しずつ光を与えていく過程も丁寧に描かれており、読者を物語の世界にぐっと引き込む文章力が素晴らしかったです。
キャラクター同士のテンポの良い会話や、乙女ゲーム世界という設定を存分に生かしたストーリー展開など、最後まで読者を飽きさせない工夫が感じられる作品でした。
ハードコア艦隊RPG【羅刹の銀河】の冒頭でエイリアンに食べられてしまうレオ・カミシロに転生してしまった主人公が、どうせ死ぬならとエイリアンに立ち向かったら英雄になってしまったという本作。宇宙×ロボットというわかりやすいジャンル。そして、死んでしまうキャラに転生したけれどそこから英雄になるという入りやすい導入がまず目を惹きました。
そして、物語の主軸となるレオとエイリアンとのバトルはとても熱く、手に汗を握るもので、合わせて戦闘中のレオの軽妙な語り口に読む手が止まりませんでした。
宇宙を舞台にレオと愉快な仲間たちが縦横無尽に駆け巡るのもしっかりと世界の広さを感じ取ることができ、また予測不可能な展開の連続にこれから一体どうなっていくんだと否が応にも期待感が高まっていきます。
絶体絶命のピンチもなんのその。爽快感のある戦闘でその場を切り抜けていく、とても魅力的な物語でした。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった主人公・マリアが、破滅回避のためにお義兄様に契約結婚を迫るところから物語が始まる本作。鈍感すぎるマリアはお義兄様の愛に気付かず、またお義兄様はそんな様子のマリアを愛しく思いながらも面白がっていて、二人の微笑ましい関係性は、いつまでも見守っていたくなります。
また、マリアが破滅回避のために行動を起こしているうちに、周囲の人々やゲームのシナリオに無自覚に影響を与えていく点も見どころのひとつです。何かが解決したと思うとすぐに新たな謎やトラブルが展開され、少しずつこのゲーム世界に隠された真実が明かされていく……という読む人を惹きつける見事な構成で、物語の展開から目が離せなくなりました。
困難があっても前向きに立ち向かい、時には自らの危険を顧みず行動することができるマリア。ちょっぴりおバカなところも可愛らしく、読者の皆さんもその愛すべきキャラクター性の虜になること間違いなしです。個性豊かなキャラクターたちが織り成す物語の行く末を追わずにはいられなくなる、素敵な作品でした。
この度は、「第10回オーバーラップWEB小説大賞」へのたくさんのご応募、誠にありがとうございました。 締切時点で計4,045作品ものご応募をいただきました。今回も多種多様な作品が多く寄せられ、編集部一同、楽しく拝読しました。 選考の結果、たろっぺ氏の『コミュ障高校生、ダンジョンに行く』、たけのこ氏の『暗部所属の新人工作員です。初任務として皇帝陛下の偽妃を演じていたら溺愛されてしまいました。……これっておかしくないですか?』の2作品を金賞に選出しました。 『コミュ障高校生、ダンジョンに行く』は、もし現代日本にダンジョンが出現したらという世界観に、コミュニケーションに難がありながら多大なる戦果を上げる主人公、その主人公を引っ張りあげていくヒロイン達と、登場人物の様々な個性がうまく機能しており、既存の作品とはまた異なった味わいがあることから今回の選出となりました。 『暗部所属の新人工作員です。初任務として皇帝陛下の偽妃を演じていたら溺愛されてしまいました。……これっておかしくないですか?』は厳しい訓練を乗り越えた暗部工作員の主人公が、冷酷無慈悲な皇帝の偽妃となり、その鍛え上げた技術をもって謀略渦巻く政争を生き残っていく物語です。間者とのアクションなど一見シリアスな演出に傾倒しそうでありながら、主人公の性格や行動、皇帝陛下との掛け合いが軽妙な雰囲気を保っており、そのギャップが非常に読者を物語に引き込む力のある作品と感じ、今回の選出となりました。 銀賞には、城之内氏の『ラスボスキャラに転生したので原作以上に覇道を進むことにした』、ナユタ氏の『私の推しメンは噛ませ犬◆こっち向いてよヒロイン様!◆』、藤原ゴンザレス氏の『羅刹の銀河 〜取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった〜』、狭山ひびき氏の『破滅回避の契約結婚だったはずなのに、お義兄様が笑顔で退路を塞いでくる!〜意地悪お義兄様はときどき激甘〜』を選出しました。 どの作品も主流のジャンル・世界観に作品のエッセンスを加えており、登場人物達が生き生きと躍動していました。 今回は金賞2作、銀賞4作を選出し、充実の大賞選考となりました。 受賞作品は順次刊行されていきます。楽しみにお待ちください。
「小説家になろう」に投稿している作品(完結・未完は不問)に下記のキーワードを設定すれば応募完了!
日本語で書かれているオリジナル作品で、応募締切時点までに本文が5万文字以上であること
※上記以外でのご質問はこちらの「お問い合わせページ」より「WEB小説大賞について」という件名を選択後、お問い合わせください。 なお、個別の作品評価についてはお答えできませんので、予めご了承ください。
オーバーラップ カスタマーサポート TEL:03-6219-0850/受付時間10:00〜18:00(土日祝日をのぞく)